第10回石丸サッカー放浪記

Muraho!(キニヤルワンダ語でこんにちは)

つい先日、ルワンダに到着しました。放浪記は相変わらず時間差の更新でついに3ヶ月ほどの遅れが出てしまっています。先日初めてコメントをいただけました、とても励みになります、ありがとうございます!

今回はドイツの街クラブを2週間弱見学させてもらった時のレポートをしていこうと思います。実は今回の旅ですが、「各国の育成環境の比較」ということも一つのテーマとして設定しており、それに関する報告を大学に提出することになっています。

何故ヨーロッパ、南米でサッカーは強いのか?反対にアメリカや中国のような大国がそれほど頭角を現していないのは何故なのか?なにか持論がある方がいたら是非教えて貰いたいです。

その観点で、今回のドイツでの街クラブの見学は個人的にとても楽しみにしていたところでした。

常識を覆された高校時代

こうしてヨーロッパの育成環境に興味を持ち始めたのは高校の部活でのとある出会いがきっかけでした。

生徒の自主性を重んじる我が母校では、指導者不在の練習も少なくなく、部活の方針から練習内容まで自分たちで決めることが多くありました。当時、キャプテンを任せてもらっていた自分はコーチや顧問のアドバイスを参考にしつつ、少ない知識と経験を絞り出しながらいかに良いチーム作りをするか、どうやってチームのレベルを上げるかに一生懸命でした。

そんな高校時代、スペインで指導をしている日本人のコーチが短期で部活に帯同してくれる機会がありました。その時、スペインの育成年代のサッカー事情を知り衝撃を受けました。

簡単に言うと、

スペインの同年代の選手たちは自分たちよりも圧倒的に練習量が少ない

という事実を知らされたのです

競技レベルの向上=練習量の確保

だった自分にとってこれは衝撃で、今までの自分の考えを全て否定された気分になったことをよく覚えています。

となると、次の疑問は

スペイン(ヨーロッパ)の選手たちは自分たちよりも練習していないのにも関わらず、なぜ競技レベルが自分たちより上にあるのか?

ということでした。

ここでの仮説は、指導者の質の高さに依る一回一回の練習効果の高さ、にあると考えていました。これを確かめるべくドイツの町クラブに足を運んできました。

今回は、UEFA Aレベルの指導者ライセンスを保有する日本人指導者の中野吉之伴さんのご協力のもと、吉之伴さんが指導する二つのドイツの育成年代のチームの練習を見学させてもらい、ドイツサッカーについての説明をいただくことができました。

吉之伴さんご自身は、日本サッカー界を良くするという志のもと、大学卒業後何のコネクションもないままドイツに渡り、現地での信頼を築き現在に至るまで15年以上サッカーの本場で指導を続けている方です。

サッカーの本場であるヨーロッパでアジアの島国から来た人間が指導者として認められることは容易ではないことが想像されます。正しい表現かはわかりませんが、東南アジア出身の指導者が日本にサッカーを教えにきた、と言われてもピンと来ないと思いますがそれに近い感覚だと思います。

しかし、練習を見させてもらうと選手たちに信頼されている様子がすぐに見てとれました。

裏切られた想定

吉之伴さんは、現在フライブルガーFCとSVホッホドルフという2つのクラブで指導なさっています。

先述したように、ヨーロッパでは一回一回の練習における効果が高いことを仮説としており、それを成すための鍵として、指導者による(手取り足取り的な)念入りな指導、介入にあると想定していました。

しかし、実際足を運んで見た光景はこの想定とはかけ離れていました。SVホッホドルフでは指導者のほとんどはお父さんコーチで、想定していたような種の指導者による介入は行われておらず、その内容はどちらかというと放任、といった方が近いような様子でした。

ここで、彼らの練習環境に関する基本的な事項についてまとめてみます

・練習は多くて週3回

・一回の練習時間は90分程度

・チーム専用のグラウンド(天然芝、人口芝1面ずつ)とクラブハウス

このチームに限らずドイツでは広く一般的にこうした環境が用意されているそうです

トレーニングの内容自体は複雑なことがなく至ってシンプルで、充実した環境で伸び伸びと楽しそうにボールを追いかけている選手たちの様子がとても印象的でした。

続いてこうした現状に繋がったドイツサッカー協会のターニングポイントと、こうした充実した環境が整備されている背景について書いていこうと思います。

ドイツサッカー界の育成方針

2000年、国際大会での結果が振るわなかったことを受け、ドイツサッカー協会は方針転換をすることにしたそうです。プロチームの育成組織の整備や、全国的なトレセンの設置などといった改革をこの頃から開始し、その甲斐もあって2014年のブラジルW杯での優勝を成し遂げたとも言われています。

今回特に印象に残ったのが、勝てない代表を改革するために育成年代で勝ちへのこだわりを緩めたという話でした。

具体的には、

・負けたら即敗退のトーナメント制の廃止

・勝敗、順位を付けないリーグ制の導入

・所属選手全員の出場機会の確保

などが見直されていったようです。

特に3つ目の出場機会の確保に関しては、吉之伴さんのチームでは、各選手に最低出場時間を保証する内容がチームの規約に含まれているという話を聞き驚きました。したがって試合に来たのにベンチを温めるだけというようなことは起こり得ず、試合に来れば全員が試合を楽しみ経験を積むことができるそうです。

ドイツで感じたのはプレイヤーズファーストの精神性の高さでした。飽くまで主役は子どもたちで、いかに周囲がそれをサポートするかということを考えていることを感じられる場面が多々ありました。先述したように指導者による過度な介入がないことも、こうした信念の強さによるものなのか、と思われました。

日本の育成年代のサッカー環境を考えた時、部活と町クラブという大きく二つの選択肢があります。

Feelingsにて日本の町クラブについての魅力を大矢が説明してくれたのは面白く印象に残ってます。(http://ashiki-feelings.blogspot.com/2019/07/blog-post_25.html?m=1)

ここからは自分の考えですが、育成という観点においては町クラブの方が部活よりも効率的で優れていると認識していました。

一方で部活は、学校の附属組織として人間教育の場という側面が強く町クラブでは得られない学校生活特有の経験ができる場と認識していました。

自分自身、中高の部活動の経験を通して多くのことを学ばせてもらい、今の自分を形成している大きな要素の一つだと考えていて、部活の存在はかなり支持しています。

ただ、今回ドイツの育成現場を覗かせてもらいチームの選手全員が“主体的に”チームに関わっている姿を見て少し認識を改めました。

日本の町クラブはセレクションが設けられていたりするなど、なんとなく敷居の高いイメージがあり、中高でサッカーをやるとすれば多くの場合所属する学校の部活を選択することになると思います。その結果、11人という出場可能人数に対して部員の数が過多になってしまうことがよくあります。

すると中心選手としてチームに主体的に関わることは難しくなってしまい、その挙げ句、好きで始めたサッカーに面白みを感じられなくなり嫌いになっていくというケースも珍しい話ではありません。そうなってしまえばサッカーを通して得られる人間的成長も何もありません。

ドイツではそれぞれの選手が自分のレベルやニーズに合ったチームを数ある選択肢の中から選ぶことができ、チームの人数も多くなりすぎることはありません。

そのために、チームに所属する全員がチームの中心選手として当事者意識を持って関わることができる、そんな様子が見て取れました。

この当事者意識を持って関われる環境こそがとても魅力に感じられ、サッカープレーヤーとしても人間としても大きく成長することができるように思えました。

この町クラブの裾野が日本に比べて圧倒的に広く、誰でも気軽にそうしたチームに参加できる環境もまた魅力的でした。(勿論、そもそも部活という文化が日本特有であることやそもそもサッカーのプレゼンスがヨーロッパでは日本より遥かに大きい、といった根本的な違いは前提にあるのですが)

そして、それを可能にするだけの十分な数のチーム数とグラウンドといった環境を用意するために多くの人からのサポートがあることを忘れてはなりません。

地方自治体としてそれぞれのグラウンド建設に補助金を出していたり、各町の小さな商店がそのクラブにスポンサーをしていたりといったことが行われているようでグラウンド周りにはそうしたお店のバナーが立っていました。

また、先述したようにボランティア的な側面の強いお父さんコーチもチームの運営に協力していたり、多方面からの協力が見られチームの会費も驚くほど安いものとなっていました。

これらを通して見えてきたのが、ドイツでの“スポーツの価値への認識の高さ”です。

サッカーを単なる運動の1つとして捉えるのではなく各個人の人生を豊かにするための要因の1つとして捉えている様子が感じられました。(逆に、より多くの選択肢を持って欲しいから練習量も過密にせずゆとりを持たせているようにも思えました)

そうした認識が根底にあってからこその先述した諸々の協力が得られているのだと思います。

おわりに

今回は10日ばかりの短い滞在で一つの町の二つのチームを見ただけに過ぎないので、ドイツサッカーについての理解は正直ごくわずかだと思います。それでも、日本とは違った育成に対する考え方や環境に触れることはできました。

ちなみにもう一方のフライブルガーFCについては、以前ブンデスリーガにも所属していた古豪で、こちらではお父さんコーチではなく、資格を有している指導者による指導が行われていました。

このチームの1人のコーチは大学でスポーツ(サッカー?詳しくはわかりません)を学んでいる傍で指導もしているそうで、滞在中も街を案内してくれたナイスガイでした。先日はコーチとしてYouTubeを始めたという連絡が来ました。

総じて、ドイツで見た選手たちのプレーはとても大人びている印象を受けました。少なくとも、自分が同年代だった頃に比べてサッカーのより多くの要素を理解してプレーしているように見えました。これには各年代の特徴を理解して、それに応じた試合の仕組みを設けているなどの秘密もあるようで、ドイツサッカーまだまだ興味深いことばかりです。

日本にはサッカーエリートのための町クラブはあるけど、そうでない人を対象にした町クラブは少ないよな、、運営するキャパがないのか、

とか、

前回のシントトロイデン滞在の記事で触れたJクラブの抱える問題(?)も日本におけるスポーツの価値の認識が高まれば変わっていくのかな、、

とか、

素晴らしい環境で楽しそうにボールを追いかけている選手たちを見て、勝ち敗けとかから離れた純粋なサッカーの楽しさを思い出させてもらえたり

また一つ考えさせられたドイツ滞在でした

フライブルク、緑多くてきれいな町でした

滞在中のフランクフルトVSドルトムント

迫力満点のスタジアムも、間近で見たロイスもアップを先導していた長谷部キャプテンも、どれも最高にカッコよく刺激的でした

得点時には後ろからビールをぶっかけられましたが、ドイツ名物らしいです(いらない)

吉之伴さんには滞在中お家にもお招きいただきとてもお世話になりました

サッカーの指導者に留まらず、教育者として選手たちと対等に接していたのが印象的でした

この記事を書くにあたっても参考にした吉之伴さんの本です、上述したドイツサッカーについての情報などよりわかりやすく広く詳しくまとめられており、指導者、保護者選手など幅広く多くの方にオススメできます!

年明けからはついに南米に行きます、

何もアテがないので何か情報ある方がいましたらお願いします…🙇‍♂️

2019年12月10日

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