日本代表戦レビュー

新入生のみなさんこんにちは!東大ア式で広報を担当している4年島田といいます。ア式にはテクニカルスタッフという分析チームがあり、普段は主に自チームや対戦相手の分析をしています。この度、新入生のみなさんにテクニカルスタッフが何をしているのか知って欲しいと思い、普段のような分析ではなく、特別にみなさんにより身近な日本代表の試合を分析してもらいました。今回記事を書いてくれたのはテクニカルスタッフ長の4年、井上雄太です。是非、ご覧ください!!

因縁のコロンビアとの再戦。W杯では2大会連続で激突した両チーム、親善試合とはいえ高いモチベーションでこの試合に臨んだことでしょう。W杯ロシア大会では10人のコロンビアに対して辛勝した日本代表。11人のコロンビアに対して新生日本代表がどれくらいやれるのか、とっても楽しみにしながら日産スタジアムに行ってきました。

↑ゴール裏から観戦。やはり日産スタジアムは少し見づらい。。。

前半、日本とコロンビアは以下のようなフォーメーションでスタートしました。

両チームとも4-2-3-1で、日本代表ではお馴染みのフォーメーションと言えるでしょう。注目選手は”新BIG3”と呼ばれる中島、南野、堂安や、Jリーグでの活躍によってスタメンに抜擢された右SBの室屋やFWの鈴木武蔵といったところでしょうか。

選手入場。綺麗でした。。。

<守備がハマった前半、支配率で下回るもシュート数で大きく上回る>

前半、日本はプレスの開始地点をセンターサークルの先端くらいに設定し、コロンビアの攻撃を待ち構えました。日本のGKの東口がビルドアップを苦手としているのも相まって、コロンビアがボールを持ち、日本が守備をするという展開が続きます。コロンビアはボールを持ちながらも日本の守備を前に攻めあぐねる場面が目立ち、逆にボールを奪った日本はショートカウンターから何本もシュートを放つことができました。

このようになった要因は何でしょうか。日本の守備、コロンビアの攻撃の両面に要因がありましたが、ここでは日本の守備について考察します。この日の日本は4-4-2でコンパクトな陣形を維持し、前と後ろが連動した非常に良い守備ができていました。鈴木と南野の2トップでプレスに行く日本に対し、コロンビアはボランチが落ちて3バックでビルドアップを行います。鈴木と南野はボランチのコースを消してボールをサイドに誘導し、SHもまずは縦のコースを切って危険なエリアにパスを通されないようにディフェンスしました。次の写真は前半29分のシーンです。

この場面、コロンビアのボランチが落ちてCBが開いてビルドアップを行っています。対する日本は鈴木が中盤のコース、堂安と柴崎が縦パスのコースを消してコロンビアのパスコースはSBしかありません。

選択肢を限定した日本は堂安が中を切りながらSBにアプローチし、この時点で室屋は相手SHに強く出る準備ができていることがわかります。この場面ではファールを取られてしまいましたが、日本の守備が機能していることがよくわかる場面でした。

攻撃面に目を向けると、日本の前線4人は縦に速い攻撃が得意な選手が揃っており、ショートカウンターにはかなりの迫力がありました。その一例として前半35分のシーンを見てみます。

この二つの場面でも、日本は先ほどのシーンと同じような守備を行い、今度はボランチへのコースに選択肢を制限したことで少し遅れているものの、柴崎が強く出ていけるようになりました。

柴崎がプレッシャーをかけたことでコロンビアのボランチは苦し紛れの縦パスをずらしてしまい、強く出た冨安が前向きでボールを奪いました。この場面、冨安の前には5人もの選手がいるにも関わらずボランチが飛び込んでこようとしています。それを交わした日本は一気に速いカウンターを発動しました。

カウンターを行った日本は最終的に右サイドで2vs1を生み出し、柴崎が良い位置でクロスを上げられる状況を生み出すことに成功しました。

日本にとって良い内容であった前半ですが、両チーム得点が生まれず0-0で終わります。内容の良さの裏付けとして、ボール支配率が36%対64%と大きく下回ったにも関わらず、シュート数は9対3と3倍ものシュートを放つことができたというデータがあります。しかし、ミドルシュートがほとんどだったことや”永遠の課題”とも言われる決定力不足をこの試合でも露呈してしまいました。

<コロンビアの修正によって押し込まれ、失点>

キーマンのハメスやファルカオが見せ場を作れず苦戦した前半から、コロンビアはハーフタイムに修正してきました。まずは後半8分、ハメスがCBの脇に落ちてきて日本の守備をかき乱します。

この場面、ハメスがCB脇に落ちてきているのがわかります。それによって左SBのマチャドを高い位置に押し出し、左SHのムリエルが内側に入ります。このずれに対応できず、日本の中盤のラインが突破されてしまいました。

直後、マチャドからファルカオに浮き玉のパスが通ります。この時日本の左SHの中島が戻っていないのがわかります。中島の守備のところは日本のウィークポイントでしたが、やはりコロンビアは狙ってきました。

その中島の空けたスペースは山口が埋めようとしますが、少し間に合わず良い形でクロスを上げられてしまいました。この場面はハンドでノーゴールとなりましたが、失点していてもおかしくないシーンだったでしょう。

さらに後半12分、コロンビアが選手交代を行います。ビジャに代えてサパタを投入し、2トップに変更してハメスを右サイドに回しました。これにより、日本の守備ブロックの中で効果的にボールを受けられなかったハメスがサイドで前向きに受けられるようになり、ターゲットが増えたことでファルカオが落ちてキープする場面が増え始めました。

この場面では、ハメスが右サイドで前向きにボールを持っています。対応するのは中島。優位な状況になったハメスはカットインして縦パスのコースを生み出します。

カットインによって日本の陣形が乱れ、ファルカオに縦パスが入ってしまいました。このように、戦術変更によってコロンビアが流れを掴みました。

失点シーンの少し前の場面ですが、左奥でサパタが深さを作っていることによってファルカオがボランチ脇で前向きにプレーできていることがわかります。こうして、微妙なジャッジではありましたが、PKを取られ、失点してしまいました。

<選手交代で再び流れを掴むも、得点は生まれず敗戦>

失点後も攻撃を組み立てられず、カウンターを中心にコロンビアにペースを握られ続ける日本代表。そこで森保監督が動きます。鈴木に代えて香川、さらにその6分後には堂安と山口に代えて乾と小林を投入します。この時間帯から日本は柴崎がDFラインに落ちる形を徹底し、香川がライン間で受けることによってビルドアップで優位に立ちました。

ボランチ脇でボールを受ける香川。相手の意識を中央へと向けることでより外に張っている中島が生きます。

この場面では中島がカットインしてCBが釣り出されたスペースを香川が狙っています。トラップが乱れてしまいチャンスには繋がりませんでしたが、可能性を感じたシーンでした。

しかし、コロンビアのディフェンスを崩しきるには至らず、0-1で試合終了となりました。

<試合総括>

試合を通して、アジアカップと比較すると攻守ともに改善できた点が多く、良い内容だったのではないかと個人的に思っています。ドリブルやチャンスメイクで圧巻のパフォーマンスを見せた中島、キープ力やクロスの入り方で特長を見せた鈴木、安定の強さを存分に発揮した冨安など、個人としてもそれぞれが持ち味を出すことができた試合だと思います。ただ、後半コロンビアが戦い方を変えてきた時に上手く対応できず失点してしまったことからも、試合中の修正力といったところはまだまだ課題と言える部分でしょう。今後の日本代表に期待したいところです。

↑試合終了後。今後に期待しましょう。

<最後に>

最後までお読みいただきありがとうございました。そして新入生の皆様、ご入学おめでとうございます。テクニカルスタッフは試合を分析することを通じてチームを勝利に導けるよう、日々努力しています。プレーには自信がないけどサッカーが大好きだという方やサッカーを見るのが大好きだという方にぜひ入部してもらいたいと思っています。少しでも興味あったら気軽に見に来てください。これからも東京大学ア式蹴球部をよろしくお願いいたします!

ア式蹴球部テクニカルスタッフ 井上雄太

2019年3月27日

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