新入生の皆さん、いかがお過ごしですか?授業にも少しずつ慣れ始めて来たところでしょうか。桜が見頃を迎えましたので、クラスの友達等と花見に行ったという人もいるかもしれませんね。
先日の駒場コンパ始めア式のイベントや練習体験に今まで来て下さった方々、ありがとうございます。今年の新歓ブログの最後を飾る対談企画、
岩政コーチ×工藤副将対談を是非ご覧下さい!
まずは二人の紹介から…
岩政コーチについてはご存知の方も多く、紹介するまでもないかもしれませんが…改めてご紹介します。
岩政大樹
山口県出身。東京学芸大学蹴球部を卒業後、J1鹿島アントラーズに入団。Jリーグ史上初の3連覇に貢献するなど中心選手として活躍し、日本代表にも選出される。
その後タイのクラブチーム、J2ファジアーノ岡山を経て2017年2月より東京ユナイテッドFC(http://tokyo-united-fc.jp)に選手兼コーチとして加入、同時に東京大学運動会ア式蹴球部(http://www.todai-soccer.com)コーチにも就任した。
工藤航
神奈川県立湘南高校出身
工学部システム創成学科4年。
早くから公式戦で活躍し、昨年から不動のセンターバック(DF)としてチームを牽引する。
また、昨年の後期リーグより副将を務める。
それでは早速、二人の対談をお読み下さい。
—(工藤選手に)ア式に入った理由は?
工藤:ア式に入った理由はシンプルで、一番情熱を持って取り組めるのがサッカーで、サッカーに一番時間をかけることができ本気で取り組めるのはア式だったからです。他に迷いもせずここを選んだ。元々、難しいと思われることに挑戦するのは好きでした。東大のサッカー部が勝つことは難しいと思われているだろうと考え、そんな中、勝って、入部当初も部は関東昇格という目標を掲げていたので、関東昇格にコミットできたら、という思いがありました。
岩政コーチ:大学を受験する段階でサッカー部に入ると決めていたの?
工藤:そうですね。高校2年生の冬ぐらいから受験することを決めたと同時にサッカー部に入ってサッカーしようという風に決めました。
岩政コーチ:そうだったんだ。がっつり大学でもサッカーしたかったということ?
工藤:はい。
岩政コーチ:サッカーをすることで工藤は何を得たいと思っているの?
工藤:一言で言うと、刺激のある生活です。公式戦があり、独特の雰囲気の中で闘うという機会が保障されているので、それに向かって努力する日々を送っていきたいな、というのがありました。
岩政コーチ:みんなそうなのかな?みんな(入部を)迷ったりしないの?
工藤:周りの人には結構迷っている人もいました。
岩政コーチ:そうだよね、だって楽しい事は他にもあるしね。
工藤:そうですね。
岩政コーチ:苦しい事の方が多いしね、部活って。
工藤:はい。
岩政コーチ:大学に入ってからは、(入部当初に抱いていた)気持ちが変わる事はなかったの?
工藤:変わるどころか気持ちは強くなっていきました。東大で勝ちたいという気持ちは年を追うごとにどんどん強くなっています。
—岩政さんはいつ、東京学芸大学のサッカー部に入る決断をされたのでしょうか。
岩政コーチ:元々は、高校卒業後は普通に地元・山口でプレーしようかなと思っていた。山口や広島の大学に通って、サッカーはサークルくらいでやろうかなというくらいに考えていました。
しかし、高校3年生の最後の試合に足を骨折して出られなかった。本気でサッカーをする最後の花道にしようと思っていた大会が突然なくなってしまい、大学でもサッカーを(本気で)する方に(方針を)変えまして。そこで進路を変えるという決断がそもそも、学芸のサッカー部に入るということだったので、学芸に行くということがサッカー部に入ることとセットでした。
—大学サッカーの魅力について
工藤:大学ならではの魅力を考えてみると、高校までの環境と比べて自分たちで考え、自分たちで環境を整えなければならない点でしょうか。高校までだと、顧問の先生がグラウンドを取ってくれて、他校の監督と話をして練習試合を持ってきてくれて、「何時にどこ集合な」と言ってくれた、それが当たり前の環境だった。
でも大学に入ってみると、学生がグラウンドを取ったり、(相手チームの、同じく学生の担当者と話して)練習試合を持ってきたりしてくれる。そうして学生が試合を組んでくれる人であったり、学生トレーナーであったり、テクニカルスタッフであったり。プレーヤー以外の道でチームに貢献する道を自分で探している人たちがいて、そういう中で、自分の手で環境を作ることの大切さを学べるのが一番の魅力かな、と思います。
岩政コーチ:自主運営という点でしょうね。大学の部活は、部の仲間といる時間が長いので、その中で自分たちでサッカー部を作り上げていくという感覚になる訳ですね。自分たちで作る環境というのはあまりないでしょうね。高校までももちろんないですし、社会人になってもなかなかそういう意識は持ちにくい。自分たちのものだという意識がやっぱり大学サッカーならではですよね。
—大学サッカーで得たこと
工藤:前と比べて格段に、ピッチに立つことの重みというか、チームを代表して試合に出るということの重みを受け止められるようになりました。試合自体は90分間で終わってしまいますが、その90分の試合のためにトレーナー、テクニカルスタッフ、グラウンドを取ってくれる人、色んな人が動いてお金も動くんですよね。試合に向けての練習にも、選手やスタッフのみんなが時間を割いて本気で取り組んでくれている。日々の活動の中でそれを肌で感じられるので、ピッチに立つことはすごく重い意味のあることなんだな、と実感しました。
岩政コーチ:僕の場合は単純にプロへの道が開けましたからね。高校まではノーチャンスだったのが、道が開けた訳ですから得たものは大きかった。日本サッカーの場合は、高校で芽が出なかった選手にもうワンチャンス残されているというのは良いな、と思います。あとは、大学サッカーをやると(サッカーをする時間が)4年間確保されますから、自主的なサッカーへの関わりによって考えの部分も変わりますよね。主体的に動く時と流動的に動く時とでは、頭の使い方・考えることが違いますからね。それによって戦術的にも、あるいは個人戦術、チーム戦術あるいはサッカーへの取り組み、いろんな面で変化が起きたのだと思います。
—(岩政コーチに)ア式に来て2ヶ月半、感じている手応えや課題などはありますか。
岩政コーチ:ア式は、勝てばいいという話ではないじゃないですか。一つの試合に勝ったからといってそれから先の人生が豊かになるわけではないでしょう?部員たちが積むア式での経験が、それぞれの未来に活かされてほしい、今というのが。未来に繋がってほしい訳ですよ。ということは、目の前の試合に勝つ方法論を一つ教えたところで何も将来には結びつかない。やはり、サッカーによって彼らに学んで欲しい。手応えというのは最後まで得られないのだと思いますし、彼らの将来の顔を見た時にわかることだと思いますからね。何を彼らに伝えるべきで何を伝えないべきか、ちゃんと判断しながら付き合わなければならないと思っています。
—自分の目標は?
岩政コーチ:まずは僕が彼らとの付き合いの中で成長すること。そこがまず第一にある。彼らには、サッカーも上手くなってほしいですし、人間としても色んなことを学んでほしいです。そういうことをどうすれば伝えられるかということを自分がしっかり判断できるようになること。それが目標でしょうね。
工藤:今年のチームの目標は東京都一部に復帰することですが、それに付随して自分の目標も決まってくると思っています。その中で、副将というチームを率いる立場の一員として、岩政さんも仰っていましたが、人間的にもっと成長する必要があると感じています。自分の目標は、抽象的ですが、人間的に成長して昇格に貢献するということです。
—岩政コーチにこれから特に学んでいきたいこと
工藤:岩政さんが来られた当時、「サッカーの楽しさを教えてやる」と仰っていたことがすごく印象に残っています。関わった時間はまだ短いですが、岩政さんが来られてから、「最近サッカー楽しいな」と前より思えるようになりました。もっと先にもっと楽しいことがあると思っているので、サッカーの本当の楽しさ、それを一番教わりたいなと思っています。
—副将(・幹部及びチームを率いる人間)に期待すること
岩政コーチ:率いる立場の人間は、人の心をどこまで想像して接することができるかが大切です。率いる立場になるとどうしても自分の考えに固執しがちになってしまう。
例えば、後輩と接する時「この子をどのようにすればチームにより貢献出来る選手・人間に出来るか」を考えること。どこまで深くその人間に入っていけるかが大切。「がんばれよ、こっち来いよ」と言うのではなく、その人の身になり、「頑張れよ」という言葉をかけるのがいいのか、もっと冷静に語りかけるように喋ればいいのか、彼の性格、生いたち、育ってきた環境などを踏まえ自分の中で考えて落とし込んでいくと相手への伝わり方がまったく違ってくる。そういうことをどこまで考えられる人間になるかということは大学サッカー部の4年生にとって、副将に取っての貴重なことだと思う。上に立つ人間、というより役割を与えられた人間というのは他の人たちのパフォーマンスをどうマックスまで持っていけるかを、彼ら一人一人の深いところまで入っていけるかを考えることが大切だと思いますよ。
工藤:ありがとうございます。
—新入生への一言
岩政コーチ:本気でサッカーをやりたい人だけ来てください。
工藤:本気でサッカーをやりたい人にとって心地よい環境を常に目指してやっておりますので、志ある人は是非共に闘いましょう。